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所有権移転リースと所有権移転「外」リースの会計処理の違い

投稿日:2015年3月22日 更新日:

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ファイナンスリース取引は、所有権移転リースと所有権移転「外」リースとに区分することができます。どちらもあまり変わらなさそうなのですが、会計処理が結構違いますので、その差をまとめました。

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0.そもそも所有権移転リースか移転「外」リースか

リース物件の購入者はあくまで貸手であることから、 その所有権は貸手が有することとなります。 これはリース期間中であってもリース期間終了後であっても同じです。ファイナンスリースの場合、通常の売買処理と同様に取り扱われますが、唯一、通常の売買取引と異なる点が所有権の所在です。

一般に、借手はリース期間が終了した場合に所有権を有しないことから、再度、当該リース物件をリースすることとなります(「再リース」と言い、再リースは基本的にオペレーティングリースとなります)。

しかし、これではリース料の総額が通常の購入と比較して多くなって しまうことから、契約において、リース期間終了時にリース物件の 所有権を借手に移転させる条項が付与されているケースがあります。

リース期間終了時に所有権が借手に移転するものを「所有権移転リース」、 移転しないものを「所有権移転リース」といいます。

(1)税法上の定義

法人税法では、下記要件のいずれかに該当するものが所有権移転リースとなり、 該当しないものを所有権移転外リースとしています(法人税法施行令48条の2⑤)。

  • ①リース物件が無償又は名目的な対価の額で借手に譲渡されるもの
    ②リース期間終了時又は中途においてリース物件を著しく有利な価額で買い取る権利が与えられているもの(「割安購入権」といいます)
    ③リース物件の種類、用途等に照らし、その使用可能期間中その借手によってのみ使用されると見込まれるもの又は識別が困難であると認められるもの
    ④リース期間がリース物件の耐用年数に比して相当短いもの(耐用年数の70%未満)

※会計上の解釈と法人税法上の解釈を照らすと、法人税法の解釈の方が所有権移転リースの範囲が狭くなっています。そのためこの記事では、保守主義の観点から法人税法をベースに解説しています。

ここで問題となってくるのは、割安購入権です。何をもって割安とするのかということですね。

(2)割安購入権とは

法人税基本通達7-6の2-2では、 次のいずれかを満たす場合に割安購入権が付与されているものとしています。

  • ①当該リース資産を購入する場合の対価が、定率法により計算した場合の未償却残高相当額に満たないこと(当該未償却残高が取得価額の5%を下回る場合には、当該5%相当額とする)
    ②未償却残高が5%相当額を超える場合で、公正な市場価額に比し著しく下回ること

原則として、取得価額の5%未満で買取る権利が付与されていれば、割安購入権があるものとされます。

なお、②の「公正な市場価額」についての定義付けはされていません。時価を測定することが困難なケースも多いことから、②のケースであれば割安購入権は付与されていないものとしておいた方が無難かと思います。

また、これは偏見かも知れませんが、基本的に、リース期間終了時に購入権が与えられている場合、その価格が割安購入額に該当しなければ権利を付与する意味がないものと考えられますので、「購入権が付与されている=割安購入権付」 になるのかなと思います。

所有権移転リースと所有権移転外リースを判定する必要があり、判定基準は概ね以下になります。

・リース期間満了後に所有権が移転or割安購入権付 ⇒ 所有権移転リース
・リース期間満了後も所有権は移転しない ⇒ 所有権移転外リース

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1.所有権移転外リース

(1)リース開始時の会計処理

所有権移転外リースは、売買処理としながらもリース特有の処理を行います。具体的には、次のように取り扱います。

例)4月1日、リースにより次の車両を取得した。(会計期間:4/1~3/31)

リース期間:5年(リース期間定額法)
耐用年数:6年(償却率0.500による定率法)
リース料:1,000,000円/年(見積現金購入価額:4,600,000)
利息:100,000円/年(簡便法)

なお、当該リース取引は所有権移転外リース取引に該当する。

・リース開始時

(リース資産) 5,000,000  (リース債務) 5,000,000

所有権移転外リースの場合、資産科目は「リース資産」となります。なお、取得価額についてはリース料総額(1,000千円/年×5年=5,000千円)とイコールです。

ちなみに、所有権移転リースですと、勘定科目はリース資産ではなく、「車両」になりますので注意して下さい。

(2)リース料支払時の会計処理

(リース債務)900,000  (現預金)1,000,000
(支払利息)100,000

リース取引であっても、借入の返済と同じ処理になります。なお、利息は100千円のため、差額の900千円がリース債務の減少となります。

(3)決算時の会計処理

(減価償却費) 1,000,000 (リース資産) 1,000,000

所有権移転外リースの場合、減価償却は本来の耐用年数ではなく リース期間を耐用年数とする残存価額ゼロの定額法 (「リース期間定額法」といいます)により計算します。

本問の場合は、5,000,000÷5年=1,000,000が減価償却費となります。

(4)所有権移転外リースの会計処理まとめ

所有権移転外リースの仕訳をまとめると以下の通りです。

1.購入時(所有権移転リースと異なります!)

(リース資産)××  (リース債務)××

2.リース料支払時(所有権移転リースと同じです

(リース債務)××  (現預金)××
(支払利息)××

3.決算時(所有権移転リースと異なります!)

(減価償却費)×× (資産)××

減価償却は通常の減価償却ではなく、リース期間定額法になります。所有権移転外リースと所有権移転リースでは、会計処理が微妙に違いますので注意して下さい。

「所有権移転外リースはリース、所有権移転リースは通常の資産取得!」

と覚えておくと分かり易いかなと思います。

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2.所有権移転リース

所有権移転リースは、通常の資産購入と同じものとして処理をします。具体的には、次のように取り扱います。

(1)リース開始時の会計処理

例)4月1日、リースにより次の車両を取得した。(会計期間:4/1~3/31)

リース期間:5年(リース期間定額法)
耐用年数:6年(償却率0.333による定率法)
リース料:1,000,000円/年
見積現金購入価額:4,600,000
利息:簡便法により計算

なお、リース期間終了時に当該資産を100,000円で購入する権利が
付与されており、当社はその権利を行使する予定である。

・リース開始時

(車両) 4,600,000 (リース債務) 4,600,000

所有権移転リースの場合は資産の購入と同じであるため、資産科目はリース資産ではなく、「車両」となります。

また、所有権移転リースの場合には、見積現金購入価額とリース料総額を利子率で割り引いたものとのいずれか低い金額を取得価額とします。

所有権移転外リースとは処理が異なるので注意して下さい。

(2)リース料支払時の会計処理

(リース債務)920,000  (現預金) 1,000,000
(支払利息) 80,000

支払ったリース料のうち、利息相当額を計上し支出金額との差額分がリース債務(借金の返済)となります。

なお、本問では簡便法のため、取得価額4,600千円÷5年=920千円をリース債務の弁済とし、差額を支払利息としています。

(3)決算時の会計処理

(減価償却費) 1,531,800  (車両) 1,531,800

所有権移転リースの場合、本来の耐用年数に沿った減価償却を行うこととなります。
本問の場合、

「4,600,000×0.333×12/12=1,531,800」

が減価償却費となります。

所有権移転リースの場合は、通常の資産購入と同じ!

と理解して頂ければよろしいかと思います。ただし、所有権移転リースはあくまでリース取引ですので、リース債務が計上されることは忘れないで下さい。

(4)所有権移転リースの会計処理まとめ

所有権移転リースの仕訳をまとめると以下の通りです。

1.購入時(所有権移転外リースと異なります!)

(資産)××   (リース債務)××

2.リース料支払時(所有権移転外リースと同じです

(リース債務)××  (現預金)××
(支払利息)××

3.決算時(所有権移転外リースと異なります!)

(減価償却費)××  (資産)××

なお、減価償却はリース期間定額法ではなく、通常の資産取得と同じ減価償却方法になります。

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3.所有権移転か移転「外」か

ファイナンスリースを行った場合、所有権移転リースに該当するか所有権移転外リースに該当するかで、会計・税務の処理が全く異なります。したがって、所有権移転リースなのか所有権移転外リースなのかの判定は非常に大切な要素となります。

所有権移転リースと所有権移転外リースの判別は、下記により行います。(他にも細かい条件はあります)

リース期間終了時にリース資産を返却(又は再リース) → 所有権移転外リース
リース期間終了時又は中途にリース資産の譲受又は割安購入 → 所有権移転リース

また、所有権移転リースと所有権移転外リースの会計処理の大きな相違点は下記の通りです。

 ■資産計上

・所有権移転リース ⇒ リース物件の資産名
・所有権移転外リース ⇒ リース資産

■減価償却の耐用年数

・所有権移転リース ⇒ リース物件の法定耐用年数
・所有権移転外リース ⇒ リース期間

■減価償却の方法

・所有権移転リース ⇒ 定率法又は定額法
・所有権移転外リース ⇒ リース期間定額法

■投資キャッシュ・フロー(固定資産の取得支出)

・所有権移転リース ⇒ 含まれる
・所有権移転外リース ⇒ 含まれない

所有権移転リースの場合、完全に通常の売買処理と同じ処理を行います。そうすると、減価償却において定率法を採用することができる(建物等除く)ため損金経理できる金額が過大になります。

したがって、所有権移転リースを採用する場合には 慎重な判断に基づき行わなければ、税務調査において 否認された場合のインパクトも過大となるので注意を要します。所有権移転リースに該当するかが微妙な取引の場合には、税務当局等に確認の上、適用可能か否かをしっかりと判定して下さい。

なお、リース期間終了時に購入権が付与されている場合には 所有権移転リースとなる可能性が高いと思われます

リース期間が終了した場合、再リースか返却をするのが通常であることから、 わざわざ割安購入権が付与されているケースの場合、 所有権移転リースの可能性が高いと考えられますね。

したがって、購入権が付与されている場合、 契約書をしっかりと確認しておきましょう。

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